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Power BIで成果を最大化する|導入後に直面する課題と解決アプローチ

はじめに

Power BIを導入するだけでは、期待する業務効率化や意思決定の迅速化といった効果は得られません。

Power BIはMicrosoft製品との連携性が高く、操作も直感的で導入しやすいという特徴があります。一方で、運用体制が整備されていなかったり、利用目的が不明確であったりすると、導入後すぐに活用が停滞してしまうケースも見受けられます。

この記事を通じて、Power BIを導入した企業が直面しやすい課題と背景を整理し、活用が進んでいる企業とそうでない企業の違いを明らかにしましょう。

目次[非表示]

  1. はじめに
  2. Power BI導入後に直面しやすい壁
    1. 初期設定のまま活用が止まる
    2. 更新されないダッシュボード
    3. 全社展開が進まない
    4. データ基盤が追いつかない
  3. 活用が進んでいる企業と進まない企業の違い
  4. Power BI活用が進まないときによくある課題
    1. ①ダッシュボードが利用されない
    2. ②部門横断での利用が進まない
    3. ③データ整備が不十分
    4. ④社員のスキル・リテラシー格差
  5. Power BIを使いこなすためのポイント
    1. ①目的と指標を明確にする
    2. ②ダッシュボード設計を見直す
    3. ③利用を習慣化させる仕組みづくり
    4. ④全社展開の工夫
    5. ⑤教育・サポート体制の整備
  6. Power BI活用事例のご紹介
    1. 製造業(化学):Power BI導入に向けたアセスメント支援
  7. まとめ
  8. 「Power BI」をはじめとしたBIツール活用支援サービス(株式会社システナ)

Power BI導入後に直面しやすい壁

Power BIは操作性に優れ、Microsoft製品との連携もしやすい反面、導入後すぐに定着するとは限りません。ここでは、Power BI導入後に多くの企業が直面しがちな4つの壁を紹介します。

初期設定のまま活用が止まる

Power BIはテンプレートやドラッグ&ドロップによる直感的な操作で、すぐにダッシュボードを作成できます。ただし、導入直後の初期設定やサンプルをそのまま使い続けてしまうと現場の業務に合わず「使いにくいツール」という印象を持たれやすくなります。

業務ごとの目的や指標に最適化されていない状態では、活用意欲も薄れてしまうでしょう。

更新されないダッシュボード

Power BIではレポートをクラウド上に公開し、定期的な自動更新によって常に最新のデータを表示できます。しかし、自動更新の設定やデータ連携が適切に行われていない場合、更新が滞り「過去の情報が表示されたまま」の状態が続いてしまいます。

手動で更新しているケースでは担当者の業務負荷が増え、結果としてメンテナンスされなくなることもあるでしょう。更新されないダッシュボードは「見ても意味がない資料」となり、やがて使われなくなってしまいます。

全社展開が進まない

一部の部署で導入されたPower BIが他部門に広がらず、組織全体で活用が進まないケースは少なくありません。背景には、導入の進め方によって以下のような違いが生まれる傾向があります。

導入アプローチ

よくある課題

トップダウン型

  • 各部門の業務とマッチせず、形式的な導入で終わりがち
  • 現場の理解が得られず、結果として浸透しないままに終わる

ボトムアップ型

  • 他部門と連携できず、局所的な活用にとどまる
  • 経営層の理解が得られず、結果として全社展開や投資判断につながらない

データ基盤が追いつかない

Power BIはさまざまなデータソースと連携できますが、基盤となるデータそのものが整っていなければ効果的な分析にはつながりません。データが社内システムに分散していたり、欠損・重複・表記ゆれなどが多かったりすると、分析の精度が著しく低下します。

BI活用の土台となるデータ整備が不十分な場合、導入の初期段階でつまずいてしまうことが多いでしょう。

活用が進んでいる企業と進まない企業の違い

Power BIを導入した企業の中には、明確な成果を上げている企業もあれば、期待通りの効果を得られず活用が停滞している企業もあります。両者の違いは、導入後の「仕組みづくり」と「活用姿勢」です。

項目

成功している企業の特徴

停滞している企業の特徴

目的の明確化

活用目的とKPIを導入段階で明確にし、業務や部門に応じた目標を設定している

導入理由や利用目的が曖昧で、ダッシュボードが誰にも活用されていない

ダッシュボードの設計

現場の声を取り入れて設計・改善を重ね、使いやすい構成に仕上げている

情報が整理されておらず、複雑・使いにくい画面になっている

社内システムとの連携

TeamsやSharePointなどと連携し、日常業務に自然に組み込んでいる

導入が独立しており、日々の業務とのつながりが希薄になっている

教育・サポート体制

トレーニングや支援を通じて属人化を防ぎ、誰でも使える体制を整えている

特定メンバーだけが操作できる状態で、他の社員が活用できない

データ整備・更新体制

データクレンジングや更新プロセスを整備し、常に信頼できる情報を提供している

整備が不十分で、誤った数値や古い情報がそのまま使われている

Power BIの活用で成果を出す企業では、あくまで継続的な改善と現場定着を目指した運用設計が行われています。

Power BI活用が進まないときによくある課題

Power BIを導入しても、組織全体で活用が進まず成果が出ないケースは少なくありません。ここでは、現場でよく見られる4つの具体的な課題と背景について解説します。

①ダッシュボードが利用されない

ダッシュボードが形だけ作成されても、現場で実際に活用されなければ意味がありません。利用が定着しない背景には、見づらさや情報過多、目的の曖昧さといった設計上の問題が存在します。

例えばKPIが業務と紐づいていない場合「何を見ればいいのか分からない」という状態に陥ります。

②部門横断での利用が進まない

部門ごとのデータ定義や管理方法がバラバラなままでは、横断的な活用にはつながりません。営業部門と経理部門で同じ「売上」を指しているつもりでも、定義が異なれば数字が一致せず「うちの部の数字と違う」という疑念を生む結果になります。

共通の指標や粒度を設定せずに全社的な展開を進めると、むしろ各部門がBIを信頼しなくなる可能性もあります。

③データ整備が不十分

Power BIを活用するには、整備されたデータ基盤が必要です。データの質が低ければ、どれだけ優れた可視化を行っても意思決定に役立つレベルにはなりません。特に以下のような課題があると、分析結果の信頼性が損なわれます。

  • 入力ミスや表記揺れが多く、正確性に欠けている

  • データが部署・システムごとに分散している

  • 重複・欠損が放置されており、統一性が取れていない

④社員のスキル・リテラシー格差

Power BIは直感的に操作しやすい設計ではありますが、高度な機能や分析を使いこなすにはDAXやクエリに関する知識が求められます。Excelに慣れているユーザーでも、初見でデータモデリングやフィルタリングを正しく行うことは容易ではありません。

結果として一部の上級ユーザーだけが操作できる状況に陥り、他の社員が「自分には使えない」と感じてしまいます。

Power BIを使いこなすためのポイント

Power BIの導入効果を最大化するには、技術面だけでなく運用・定着のための工夫が必要です。以下にて、Power BIの活用を組織に根づかせるためのポイントを5つに分けて解説します。

①目的と指標を明確にする

Power BIを効果的に運用するためには、まず「誰が」「どのような目的で」「どの指標を使って」分析するのかを明確にすることが大切です。KPIが不明確なままでは、可視化された情報を見ても何を判断すればよいか分かりません。

全社で共通指標を定義しながら、部門ごとの目的に沿ったKPIも同時に設計することが重要です。

②ダッシュボード設計を見直す

Power BIで構築するダッシュボードは、見た目の美しさではなく「見たい情報にすぐアクセスできる構成」が求められます。利用者の役職や役割に応じて、表示する情報の粒度や範囲を整理することが重要です。

例えば経営層には全社的なサマリー表示を、現場には個別案件や担当者別の詳細情報を表示するといった工夫が有効です。

③利用を習慣化させる仕組みづくり

ツールの活用を一過性の取り組みで終わらせないためには「自然と毎日使う環境づくり」が欠かせません。Microsoft 365との親和性が高いPower BIなら、他の業務ツールと連携させることで、日常業務の中に無理なく組み込めます。以下のような仕組みを設けることで、利用が習慣化しやすくなります。

  • Teamsタブにダッシュボードを埋め込み、朝会で開くようにする

  • KPIの変動をチャネルに通知し、情報の見逃しを防ぐ

  • プロジェクトの進捗共有にPower BIレポートを活用する

④全社展開の工夫

Power BIの活用を全社規模に広げるには、いきなり横展開するのではなく、スモールスタートからの段階的な拡張が効果的です。

「見積作成時間を30%削減した」などの成果を、どのKPIで、どのプロセスを経て実現したのかまで丁寧に伝えると再現性が高まります。経営層の理解と後押しも、社内浸透には不可欠な要素です。

⑤教育・サポート体制の整備

Power BIは低コストかつ高機能なBIツールですが、操作に慣れるまでは一定の学習が必要です。特にDAXによるカスタム計算や複雑なフィルタ処理などを行う際は、基礎的な知識の有無が活用範囲を大きく左右します。

そのため、導入初期には操作研修や勉強会の実施が重要です。あわせて、FAQの整備や社内コミュニティの運用により「質問できる環境」を整備することで、自己解決力が高まり、学習モチベーションも持続しやすくなります。

Power BI活用事例のご紹介

Power BIを導入する際には、目的や要件を整理し、自社に最適な活用方法を見極めることが重要です。

ここでは導入前のアセスメントを通じて課題を明確化し、スムーズな展開と定着につなげた企業の事例を紹介します。

「どのように導入方針を固め、成果につなげたのか」を知ることで、自社の検討プロセスにも活かせます。

製造業(化学):Power BI導入に向けたアセスメント支援

<Power BI導入アセスメント/要件整理支援>

【課題】

他部門で導入済みのPower BIを自部門でも活用し、データ分析を効率化したいというニーズがあった。しかし、現状の分析課題や実現したい成果が整理されておらず、導入の方向性が定まっていなかった。さらに、必要な機能や構成、概算費用(初期・運用コスト)を把握できておらず、導入検討が進まない状況にあった。

【取り組みのポイント】

  • 現行業務をヒアリングし、分析手法・課題点・実現イメージを整理

  • Power BIの機能とライセンス構成を比較し、最適な導入方式を提案

  • 導入計画・コスト・スケジュールを可視化し、PoC(概念実証)につなげる提案を実施

【改善によって得られた効果】

  • 導入までの具体的なスケジュールとコストが明確になり、実際来季のPocと導入計画案につながった

  • Power BIの種類あやプランの違いや必要要件を知り、自社要件最適なプランに活用できた

アセスメントを通じ「現状把握 ・要件整理→ 課題定義・改善提案 → 導入設計」のプロセスを体系化。

Power BI導入を単なるツール導入ではなく、成果を出すためのデータ活用設計として位置づけ、全社的なデータドリブン経営への第一歩を支援しました。

まとめ

Power BIを導入すること自体はゴールではなく、成果を生むためのスタートにすぎません。真に効果を引き出すには、導入後に直面する課題を適切に把握し、活用を根づかせるための運用設計が求められます。

特に重要なのは、次の5つの観点をバランスよく組み合わせて取り組むことです。

  • 活用目的とKPIの明確化

  • 利用者視点に立ったダッシュボード設計

  • 日常業務に溶け込む仕組みづくり

  • 成果を広げるための全社展開

  • 継続的な教育とサポート体制の整備

上記を着実に整えていくことで、Power BIは単なる可視化ツールではなく、組織の意思決定スピードと業務効率を高める「ビジネス推進の土台」として機能しはじめます。

「Power BI」をはじめとしたBIツール活用支援サービス(株式会社システナ)

株式会社システナでは、Power BIをはじめとするBIツールの活用定着と成果創出を両立させる伴走型支援サービスを提供しています。

ツール導入にとどまらず、組織全体での活用を促進し、業務効率化や意思決定の質向上を実現する仕組みづくりをサポートします。

サービス内容

提供価値

ヒアリング・要件定義

  • 現状の課題やPower BI(Tableauなど他のBIツール含む)で可視化したいデータをヒアリング
  • 要件に基づいた機能調査を実施

レポート・ダッシュボード作成

  • 要件定義に沿ったレポートやダッシュボードを作成
  • スモールスタートで活用を開始(レポート一つ作成などから対応可能)

運用サポート・教育

  • BIツールの基本操作や更新方法をレクチャー
  • 現場の自走を促進サポート

「Power BIを導入したが、現場で活用が進まない」「全社的な展開を目指したい」とお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

システナ|ITマネジメント事業本部
システナ|ITマネジメント事業本部
IT戦略を実現するために、PMOや業務自動化・デジタル化推進、システム構築・運用、ヘルプデスク、人材育成などのITに関する様々なアウトソーシングサービスを提供しています。 お客様のビジネスの発展に寄与できる“お客様にとってのIT&DXサービスNo.1パートナー”を目指し、価値ある情報をお届けしていきます。

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